コミュニケーションが一番大事

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 花に限らず、自分が買う(売る)ものは誰が、どんなところで、どうやって作って(売って・買って・使って)いるのかを知るということは、良いものを作る生産、良いものを売る店、大切に使う消費者、すべてにとってプラスに働くと思います。
 でも、実際はそういったトータルでの情報共有ができることはまれで、せいぜい自分の後のチェーンの情報を得るのが精一杯で、ましてや自分自身の情報も発信していない事が多いのが現状です。唯一の情報はクレームという形だったりするわけです。
 生産の現場は、とかく重厚長大が高品質の証と信じ、そこにまい進している感があります。そういった花はどのようにも使えますし、高値で取引されていますから、あながち間違いとは言えませんが、実際に花屋さんにお会いして話を伺うと、最近はそういった使い勝手より、むしろ花持ちを重視する花屋さんが増えてきています。
 お客さんにできるだけ長く花を楽しんでほしい。そう考えるのは生産者も花屋さんも共通の願いだと思います。ところが、この花持ちというものは目に見えない品質ですから、表示や確認のしようがありません。水管理や温度管理に気をつけて、花持ちを良くしようと努めてはいますが、それとて実際には確かめようがない。そうなると花屋さんとのコミュニケーションが大事になってきます。
 実際に扱っている花屋さんからは客観的な評価を受けることができます。さらに、花屋さんや消費者の要望も聞くことができます。また、逆に花屋さんも生産者を知るきっかけができ、安心して花を購入できるようになると思います。
 現在の切花の流通は生産者、市場、花屋、消費者というように流れます。基本的なものの流れである生産、販売、消費の中に市場が入ることで、物の流れは上手くいく反面、情報の共有はむしろ阻害されている気がします。
 市場の役割は生産者と販売店のマッチングであり、物だけでなく情報の取り次ぎをしてこそ意味ある機関であると思います。逆に言えばこれからの市場はそこまでやらなければ、淘汰されていく時代になるとも言えます。もちろんそれは他人事ではありません。生産者である私自身も責任を持って情報を発信していきます。
 生産者がすべきこと、市場がすべきこと、花屋さんがすべきことを明確にし、お互いの仕事を理解することで、本当の意味で高品質の商品を消費者に届けられるようになるのではないでしょうか。

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コメント(4)

昨日続いてお邪魔します。今回の記事にコメントを是非残したいと思うのですが、
やはり長くなってしまいそうでその時はお許し下さい。

「市場が入ることで、物の流れは上手くいく反面、情報の共有はむしろ阻害されている気がします。」
・・現状これが一番の問題ですよね。私達花屋が市場に行っている時は、競りに集中していますし、情報交換といえばお花屋さん同士の情報交換です。さらにこれから市場の姿はどんどん変わって行くように思えます。ネット先取りで競りのウエイトが減り、市場には荷物をとりに行くだけ。益々情報の共有は難しくなってしまうかもしれません。でも例えば市場のECサイトの中で、生産者の方の情報発信や、花屋さんのリクエストを揚げる場なんかが有ればいいかもしれませんよね。そんな形で普段から私達花屋と生産者の方々との距離感を縮め、時にはハウスを訪ねて生の声と、根の張った花を見る事が出来たら。是非そういう場が設けられて欲しいものです。

業務用には重厚長大な花が必要な場面が多く(流行でもありますが)有りますが、普段お客さんに買ってもらうにはその必要はあまり無いんですよね。やはり安心買ってもらえるよう、手頃で長持ちのするお花が欲しいものです。曲がっていてもそれを「味わい」として受け入れる花屋は実は多いと思いますし。それと、その花にとってベストの水揚げ方法というのも知りたい情報ですよね。お店では普段、水切りや湯揚げ、ミョウバンを使ったり、焼いたり叩いたりとしていますが、生産者の方から「この花はこう水揚げすると長持ちするよ!」といった情報はみんな欲しいと思います。私達の義務はそれをお客様にお伝えする事ですから。

花の消費については幾つも問題が有ります。生け花の文化と、住宅の西洋化の矛盾。男性が花を女性の「テリトリー」の様に思っている方がまだまだ多いこと。。。っと、ごめんなさい、やはり長くなってしまう・・とにかく私達もがんばっていきます!

ocean202さん、早速ありがとうございます。
長くなっても一向に構いませんから、どんどん書き込んでください。

市場に関する不満は生産者のみならず、花屋さんも持ってらっしゃるんですね。それなら、話は早いですね。市場に要求していきましょう。市場が当てにならないなら、生花商組合と交流の場を作っても良いですしね。

曲がった花でも使えるからそういう花も出してくれ、という話はよく耳にします。でも、実際にはそんなに曲がった花はできないんですよね。切花の場合は10cm角程度のネットを張って、その中で花を育てていくので、倒れたり、曲がったりしないんです。積極的に曲がった花を作ってくれというなら別ですが、そんな奇特な花屋さんはいませんよね。

水揚げの件については、生産者より花屋さんの方が断然プロなんだと思います。生産者は水下がりしないように、朝早く切ったり、切ったらすぐに水揚げしたり、冷所に置いたりして水に関するストレスをできるだけ与えないようにしています。あとは植物の特性に合わせた鮮度保持剤を選択して、使用しているだけなんです。輸送のストレスを与えられた花を水揚げしている花屋さんにはとてもかなわないと思います。

消費に関して、男性には花屋さんの敷居はやっぱり高い気がします。閉鎖系になっているので、怖いんです。どうやって頼めばいいのか分からないし、どのくらいの予算で買えるのかも分からないんです。花の名前も知らないし・・・。聞けばそれで済むんですけど、聞けないんですよね男って。
自分の花屋デビューの時(もう20年も前の話)の心境はこんな感じでした。最初はバラしか花の名前を知らなかったので、バラを1本買い、その次はチューリップを花束にしてもらいました。それしか花の区別が付かなかったんですよね。
最近は花屋さんも花の名前や料金を表示しているところが増えてますから、だいぶ買いやすくはなっていますが、知らない人にはやっぱり怖いところなんじゃないかな?
でも、男をいかに花業界に引っ張ってくるかは、すごく重要なことのように思います。女から女。女から男。男から女。男から男。今のホーム需要は贈られる側は女性ですよね。男に花を贈るシチュエーションはほとんど聞きませんね。贈られる側に回らなくても、贈る方に回ってくれれば、全体の半分は埋められるわけですから。

 こんにちはyusakuさん。 ボクもコメントさせてください。
 
 タイトルの件、何年か前から気になりだしたコトで先日もビールを飲みながらではありましたが話してた気がします。
 ボクも生産者とお花屋さんのコミュニケーションって重要だと思う。生産する側にとってニーズを知る事は重要なのに現状では市場の担当者ぐらいからしかその情報を得ることができない。しかもその情報は相対的な話が多く、どうも現場(お花屋さん)の話が伝わってきている気がしません。例えばこの花は今よく売れている=現場で求められている的な話。これって間違っているワケじゃないけど、本当は「こーゆう感じの花が欲しいんだけど今はこれしかない」から売れているだけかもしれないし「こっちの花をホントは使いたいんだけどもっと高いからこの花にしよう」ってだけかもしれない。そこんトコの情報がどうにも伝わってきている気がしないんですよね。そこがスムーズになったらボク達は何を作るべきなのか迷う必要がなくなるし、お花屋さんも欲しい物が手に届き易くなる筈。
 でも、そんな事を除いてもボクは生産者とお花屋さんはコミュニケーションをとるべきだと思う。実際にお金を出して買ってくれているエンドユーザー(この場合消費者、そこまで届かなければ小売業者という事になりますが)がいて、その人達に喜んでもらえたって話を聞ける事はボク達生産者冥利につきる話であって、同時にその声は直にお客さんと接しているお花屋さんにとっても同じだと思う。お互い感情のある人間なんですから、喜んでもらったり感謝される気持ちが更に良い物を作る活力になっていくと思うしそうで在りたい。たとえそれが嘘であってもそんな話をできるだけで充分意味のあることだと思う。

やぎさんこんにちは。
仕事だからお金を得るために花を作っているんですが、私もやぎさんのおっしゃるように、物とお金の交換だけじゃない、"感情"とか"思い"の交換をしたいわけです。それには花はピッタリですよね。
以前、メコノプシスを出荷したとき、その花を使っていただいた花屋さんがわざわざハウスまで来てくださって、喜びの声を伝えてくださいました。「お客さんから喜ばれたので、その喜びを生産者にも伝えたい。」
贈る側から贈られる側にだけでなく、生産者から花屋さん、生産者から消費者へも"思い"を伝えられる。そしてそれが喜びとして戻ってくる。そんな循環が実現すれば最高です。
そのためには、まず自分自身が"思い”を伝える努力をしなければなりませんね。

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このブログ記事について

このページは、宮下勇作が2006年3月25日 18:25に書いたブログ記事です。

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