地元の高校で大学の講師による出張授業があり、町民にも開放されていたので参加してきた。
1.経済・経営・商学分野
2.人文・社会・心理分野
3.教育・教員養成分野
4.理工・電気・機械分野
5.法学・法律・政治分野
6.環境・家政・食糧分野
7.芸術・美術分野
8.英米文化・外国語分野
9.体育・健康分野
10.看護・医療・福祉分野
以上10の講座が開かれ、生徒がそれぞれの興味に合わせて受講していた。
私はその中から経済・経営・商学分野の札幌学院大学商学部 碓井准教授の「身近な所からマーケティングを知ろう」を受講した。
90分の講義時間であったが、高校生対象と言うことで途中に休憩を挟んで正味80分の講演であった。
内容はマーケティングの概略と製品のライフサイクルについて、非常にかみ砕いた分かりやすいもので、あっという間の90分であった。
マーケティングとは市場に働きかけたり、市場を動態化させることを言う。消費者に向けてものを売るための一連の活動を指す。
一般にマーケティングというと販売促進活動(広告・営業・PR)のことを指して言う人が多いけれど、実際にマーケティングで考慮すべきものは4Pと言われている。
4PとはProduct(製品)、Place(流通)、Promotion(販売促進)、Price(価格)の頭文字Pから名付けられたもので、どういう製品を、どこで、どんなPRをして、いくらで売るかということだ。
日本の企業の広告費のトータルは年間約5兆8億5千万円。これら広告費はすべて商品価格に転嫁されているわけであるから、赤ちゃんまで含めて一人年間46,000円の広告費をわれわれは支払っているということになる。その内民放放送局で流されているCMが35%を占めており、これを民放の受信料と考えれば一人年間16,000円ほどを支払っている計算になる。
製品のライフサイクルとは、新製品が市場に導入されてから普及しやがて姿を消すまでの過程を言う。
それぞれの段階によって、取るべきマーケティング戦略が異なっていて、マーケティング手法を見ることでその製品が置かれている状況が見て取れるらしい。
市場導入期には、その製品の基本的な性能や用途をCMなどで認知させる。売り込みは営業マンによるプッシュ型マーケティング(押しの営業)を行う。上層吸収価格政策(新しもの好きやマニアなど高くても買ってくれる消費者への対応)もしくは浸透価格政策(安くないと買ってくれない人への対応)を製品によって使い分ける。
成長期に入ると、今までの押しの営業からプル型マーケティングに変化していく。認知度が高まったことで消費者の方から小売りに対する指名買いが入ることで、それぞれの段階で在庫されるようになる。製品ラインを拡大することにより低価格競争に参入でき、後発企業の参入抑制が可能になる。
競争期を経て成熟期に入ると、既存製品の使用機械や用途の拡大が検討される。また、製品の特性や品質の改善を図ることで機能を向上させ、新たな付加価値を生み出したりする。定期的なモデルチェンジ(車など)や流行(ファッション)を作りあげる事で機能的・心理的な買い替え需要を喚起したりするという。
ゲーム機がそれまでは子どものためであったのが、NINTENDO DSの登場で大人にまで拡大しているのは良い例である。
そして衰退期に入ると、企業技術レベルが平準化されるためどの企業が作ってもモノが変わらなくなる。そこで流通業者によるプライベートブランドが登場してくる。100円ショップのダイソーやジャスコのトップバリューなどがそれに当たる。
この段階になると、
撤退企業を吸収してリーダーを目指す。
隙間市場に特化するようになる。
撤退を前提に新たな投資を抑え、資金を回収する。
事業を売却し完全撤退する。
のいずれかの戦略を取らざるを得なくなる。
自分たちの置かれている状況に当てはめて考えると、考えさせられる内容であったし、こういったアカデミックな中から考えるヒントを得ることも必要なことだと感じた。
また、こういう機会が得られることを望む。
できればもう一コマ受講してみたかった。
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