北海道洞爺湖サミットが終了し、メディアの報道も一段落した格好だ。
今回のサミットの主要議題は温暖化対策、燃料高騰、食糧危機と話し合われたが、どれもが農産物生産者にとっては身につまされる問題だ。
ここ一・二年の原料ならびに燃料高騰は温暖化対策を持ち出すまでもなく、コスト面で生産者を脅かし、作付け面での対策を余儀なくされている。現状では表面化していないものの、食糧危機に至ってはすべての農家にとって機をうかがっている自体とも言える。
生産者と言っても、日本だけを見渡しても北海道から沖縄まで南北3000kmにわたって産地が拡がり、それぞれが独自の特長をいかして栽培・出荷している。
これまで後進産地は先進地の後追いでもそれなりに飯は食える状況であったが、ことここに至ってはその産地の条件、特に環境条件を考慮してその地でできうる最大のパフォーマンスを発揮しなければものが売れない時代になってきている。
まして、燃料高騰で冬季の出荷時期が限定されてくれば、燃料費の掛からない夏秋期の出荷が増加するのは明白である。
そのためにわれわれ北海道の産地がなすべきことは、その与えられた環境(気候)条件を活かして、そこでしかできないものを必要な消費者に届けることである。極論すれば、他でできるもの、やっているものなら、作るべきではない。
苗や種子球根を購入して栽培してできたものを出荷する。至極単純なことであるが、実は商品開発は種苗会社任せ、販売は農協任せだったりする。つまり生産者は工場でしかない。
すべての価格が上がっている時だからこそ、生産者は知恵を働かせる時代である。誰もやっていないこと、そこでしかできないことが必ずあるはずである。自分の能力と照らし合わせてできることを考えてみる時代に来ている。