2008年3月アーカイブ
今日は滝川にある道立 花・野菜技術センターで花づくりセミナー2008が行われました。
ゲスト講演と花・野菜技術センターの研究報告を目的に、毎年この時期に開かれています。
ゲスト講演は、東海大学開発工学部生物工学科の林真紀夫教授による「施設園芸における省エネルギー技術について」でした。
持ち時間の一時間では説明しきれないほどのボリュームで、細部は触れられず駆け足になってしまったのは残念でしたが、非常に示唆に富んだ講演でした。
省エネ技術として、1)暖房負荷抑制(熱消費側省エネ技術)、いわゆる保温性(被覆)資材の特性と、2)省エネ暖房方式(熱供給側省エネ技術)に分けて説明が行われました。
まず、1)保温性(被覆)資材の特性についてです。
初めに、温室の熱収支を見てみると、熱が逃げるのは隙間から逃げる場合と、被覆資材そのものから逃げる場合の二通りあります。
そのうち隙間からの逃げは全体の5~20%あるといい、これは、穴を塞ぐなどの対策による気密性を向上させることで、ゼロにすることが可能です。
問題は被覆資材そのものからの逃げです。これは逃げる熱量全体の60%~100%を占めており、対策の柱とすべき点になります。対策は高保温性資材を使うか、多層化して断熱効果を高めることになります。
被覆資材の多層化することによる省エネ効果は以下の通りです。
1重(外張り)のみ 省エネ0%
1重1層カーテン 省エネ30~45%
1重2層カーテン 省エネ40~55%
1重3層カーテン 省エネ50~70%
(1重は外張り、1層は内張り)
このように、多層化することで省エネ効果は上がりますが、それは比例的ではなく、多層化が進むにつれてその効果の度合は低くなってきます。現状行っている被覆に+1層が現実的な選択になりそうです。
また、被覆資材の厚さによる保温効果はほとんど違いがありません。もちろん厚いほど赤外線の吸収率は大きいのですが、それよりも多層化による保温効果の方が大きいため、厚手のフィルム1重1層よりも、薄手のフィルム1重2層の方がより高い保温効果が得られるといいます。
そして、現在流行りつつある空気膜二重温室についても、保温効果は固定二重被覆と同じであるといいます。ただし、1重1層の被覆に比べると、隙間が生じない分、気密性を高く保てる利点はあるといいます。
要は、温室の一番外側の層をいかに低温にできるかが、保温性を高めるポイントだそうです。
次に、2)省エネ暖房方式(熱供給側省エネ技術)についての説明がありました。
まず、一番基本的な省エネ方法は、暖房機の点検・清掃だそうです。煙突掃除やノズル掃除・交換、空気量の調節などで暖房効率を上げることができます。さらに煙突からの排熱回収器を取り付けることで、より効率は高まります。
省エネ暖房機を選択する上で考慮すべき点がいくつかあります。
1)プラスの費用対効果が期待できる。
2)燃料・熱源が安定的に供給される。
3)運転制御性がよく、自動運転が可能で、省力的である。
4)故障が少なく、保守が容易である。
5)環境負荷が少ない。
6)設置工事が容易であり、工事による栽培への影響が少ない。
7)装置設置などによる栽培面積低下や作業性低下が少ない。
8)収量・品質低下への影響がない。
すべてを満たすものはあり得ないので、これらを総合的に評価して検討すべきです。
まず取り上げられた省エネ暖房装置は、まずヒートポンプです。
ヒートポンプは、冷媒の圧力を電気を使って変化させることで、空気中や地中、あるいは水中にある熱をやり取りする仕組みで、使用する電気料の3~5倍の熱量を得ることができます。
これは発電や送電による損失まで考慮しても、エネルギー効率は1.0を超える技術です。
しかし、このシステムの難点はやはり設備費用で、空気熱を利用したヒートポンプで温風暖房機の3~5倍、地熱を利用したものはさらにその3~4倍掛かるようです。
より安価な空気熱を使う場合、外気温が低いと得られる熱量(COP)が低下します。そして霜取り時間が増えることから、暖房が停止する時間も増えるため、寒冷地では不利なようです。
ただし、北海道のような寒冷地では運転時間が長くなる分、利用価値がある可能性も捨てきれないので、検討する価値はあるようです。
現実的にはヒートポンプ単独の使用よりも、一定温度までは温風暖房機を使い、それ以降はヒートポンプを利用するというハイブリッド方式の利用を勧めていました。
次に、代替燃料として、一つに木質ペレットの説明がありました。木質ペレットについては、既に月形で導入済みなので、詳しくは触れませんが、燃料の安定供給と価格、機械の導入費用に課題があります。
カーボンニュートラルの発想から考えれば、地元の材料を地元で加工して、できるだけ輸送や製造に掛かる負荷を押さえることが必要で、それがひいては低価格化につながっていくものと思います。
これら以外にも「コジェネ」「トリジェネ」「古タイヤボイラー」「地下水・地熱水・太陽熱などの自然エネルギー利用」が紹介されていました。
以上のように、現状で新しい技術を導入するには、かなりの設備投資が必要になり難しいと思います。ですから、まずは保温性の向上や暖房機保守・清掃などによる暖房効率の向上を基本に据えて、対処すべきであるとのことでした。
しかし、将来的には期待できる新技術があり、今後の技術の進歩や普及によって設置費用も安くなり、性能は向上してくると思います。
今後もニュースに気をつけて注目していきたい事項の一つです。
講演の最後に、野菜茶業研究所作成の「温室暖房燃料消費量試算ツール」が紹介されていました。
ハウスの大きさ、被覆資材の違いから暖房費を計算できるソフトになっています。
エクセル形式のファイルをダウンロードして利用可能です。
引き続き、花・野菜技術センターの研究員より研究報告が行われました。
本年度の成果及び次年度以降の研究課題の紹介、トルコキキョウとデルフィニウムの実証ほ試験の発表、花き病害虫の発生状況について各担当研究員から発表されました。
また、成果については、ロビーにてポスターでの展示がされていました。
もっとも注目した研究は、バラやデルフィニウムの前処理や輸送で糖を使うことで、鮮度や発色の向上がみられると行った報告がありました。
最後になりましたが、全般を通じて、内容が濃い割には時間が足りない感じがしました。
今後は、もう少し時間的な配慮をしていただければ、もっと充実したセミナーになると思います。
今日は「月形の花」の仲間20名と札幌の花のパック工場2軒にお邪魔しました。
どちらも大手スーパーやコンビニ向けに花のパック作りを行っています。お彼岸が近いことと週末と言うこともあって製作数も多いらしく、下葉取り、コンベヤーへの花置き、パッキング、箱詰めの一連の作業を従業員の方々が手際よく行っていました。
同じものをただひたすら作り続けるのではなく、次々に新しいメニューに取りかかっていく様は、緊張感を感じずにはいられませんでした。もし、自分があの中に入ったらと思うと・・・アー怖いです。
メニューは300円台の束から3000円、中には5000円のアレンジまで製作しているとのこと。売り手が熟練していないスーパーでも、アレンジを販売できるように配慮しているようでした。
一ヶ月前から商品の提案をしていき、一週間単位で数量を把握しているそうです。すなわち、当然のことながら、量が見通せる品種に限定されていくのは仕方ないことのようです。
今回、そういった花束製作の発見以外に、おもしろい輸送バケットを見つけることができました。
今の月形の花は100%ダンボール出荷で行っています。そして、水が下がるようなものはエコゼリーを付けたり、縦箱にしてソフトバケットを付けています。
最近の原油高騰の影響からダンボール価格も上昇しています。そして何より、ダンボールは一回しか利用できません。結局はゴミとなりリサイクルされる運命です。
花の輸送バケットといえばELFシステムが有名ですが、ここで使われているものは、水を入れるコンテナの上にプラスチック製のスペーサーを取り付け、上から格子状のフタができるようになっています。
つまりプラスチック製のスペーサーが壁代わりになるため、フタの上に何段も積み重ねることができるということです。フタもシースルーになっているので、花の状態を確認でき、湿気もこもらない様でした。これをPPバンドで固定して出荷するそうです。価格は1個880円。
ELFだと上に積み重ねられないので、非常に積載効率が悪いのが難点ですが、これならそういった問題も解消されます。
使用回数についても、聞いた限りでは一年以上は楽に使えるそうです。しかし、n-hanayaさんによれば、ELFでは使用回数が3回程度しかできないとのこと。リユース回数が極端に低い理由は何なのか?本当に数回の使用で壊れてしまうのか、それとも回収が上手く行かず行方不明になってしまうために平均利用率が落ちていることになるのか・・・
既存のシステムを利用せず独自にやるのであれば、コストや回収方法だけでなく検討すべき課題がたくさんありそうです。なかでも市場、そしてその先の花屋さんにいかに理解してもらえるかが重要なようです。
作れば売れる時代は終わったと誰もが言う。つまり、作りっぱなし、出荷しっぱなしではダメだとは誰もが分かっている。
しかし、いざPRとなると、忙しいからという理由で消極的になってしまう。PRの大切さは頭では分かっていながら、行動に移せない。優先順位は常に低い。
そして、矛先を品種選定に向けることになる。しかし、考えることは皆同じであるから、新品種であっても新鮮味は全くない。むしろ、昔の品種が新鮮になったりするのは皮肉である。
多くは人と人のマネジメントの問題を、品種の問題にすり替えているため、社会との対応ができなくなります。たとえばエコファーマーを取得することさえできない産地、、、、自産地ウェブサイトさえ構築できない産地、、、はひとつの社会対応ができない産地事例という指標になります。しかしエコファーマーを取得したり、単にウェブ上にブログ(ウェブ・ログ)を作り農作業日誌を公開することはきっかけであっても到達地点ではありません。次のステップは、それを手段として何を行うのかが問われています。
ブログにしても一般のホームページにしてもサイトの構築自体は、非常に容易な時代になってきている。しかも安価で、中には無料で利用できるものも多い。
しかし、例えサイトを作ったとしても、作ることで満足してしまい、それ以上の発展がないサイトが非常に多い。更新が止まってしまったサイトである。
サイトはいわば生ものであるから、新しいコンテンツを提供していかなければ、腐ってしまう。腐ったサイトの存在はサイトを作らない場合よりも始末が悪い。いわば悪評を自らまき散らしているようなものだ。
大抵はサイトの構築で一杯一杯でコンテンツにまで頭が回らないことが多い。これはサイトを作る目的がはっきりしていないために起こることだ。他がやっているからうちでもやってみようか、ではすぐに腐り始めてしまう。
サイトを作る目的は「伝えたいことを伝える」ことだ。これなしには何も生まれない。
サイトはチラシやポスターではない。もちろんチラシやポスターにもなりうるが、それ以上の価値を容易に生み出せるツールである。
それは紙面に限りがないこと、誰でも作成できること、そして、すぐに生み出せること、これがチラシやポスターにない魅力である。
誰がコンテンツを作るのかがはっきりしていないことも腐ったサイトを生み出す一因である。伝えたいことを持っている人は誰なのか?伝えるべき人は誰なのか?それを生産者は自問自答する時だ。
昨日は月形花き生産組合青年部の役員にリニューアルした月形の花のサイトの説明を行った。
トップページにブログを導入した経緯について説明し、エントリー(記事)の投稿のやり方と投稿の協力をお願いした。
従来のホームページは、シーズン前に生産者から集めた出荷計画書を元に栽培情報を更新し、出荷が始まってからは週に一度出荷情報を更新するだけであった。
本来は花の写真を充実させる意向もあったのだが、出荷最盛期になるとそれもままならない。
それならば、実際に生産している生産者自身に写真を撮ってもらおうということになった。今はほとんどの生産者が携帯電話を持っている。それも今はカメラ付きが主流である。せっかくある機能を有効に使わない手はない。
そして、写真をブログに送信してもらい、一つのエントリー(記事)が完成する。
ブログはエントリー(記事)それぞれが独立したページであるため、リンクが増えることにより、検索に掛かる率が高まることも魅力の一つである。
そして、専用のソフトを用いなくても気軽に更新作業ができなど、ブログを取り入れるメリットは大きい。
パソコンと携帯どちらからでも投稿できるので、シーズン中はなかなかパソコンを起動させない人でも参加できる。
これからは限られた人だけがサイト(ブログ)を作るのではなく、77名の生産者と農協の担当者全体で作り上げていくことになる。
この集合知がどう展開していくか楽しみである反面、実際に参加してもらえるか不安でもある。
いずれにしても、サイトの構築はスタートラインにすぎない。そこから何人がスタートしていくのか、それぞれの生産者が試されている。
さくら、さくら、さくら。さんから風力発電についてのコメントを頂きました。
>今日は又前から頼んでいた、風力発電のゼファーのカタログが届きました。小さな風で電気が起こせる工夫が紹介されていました。 ゼファー株式会社
風力発電は確かにクリーンなエネルギーだということは誰しも認めるところですが、しかしどうも宣伝通りには上手くは行かないようです。
詳しいことは「家庭用風力発電(市民のための環境学ガイド)」に書かれています。
風力発電の発電の源はもちろん風です。ですから風のないところでは発電はできません。
この風力発電機の資料がみつからないのですが、「家庭用風力発電(市民のための環境学ガイド)」から引いてみれば、定格出力1kWの時の風速は12.5m/秒となっています。平地でこれだけの風速が平均して得られるのは台風の時くらいでしょう。
風力発電の出力は風速の三乗に比例するそうです。ですから、風速が2倍になれば、出力は8倍になります。逆に言えば、風速が半分になれば、出力は8分の1になってしまいます。そよ風程度ではまったく発電は期待できないでしょう。
それに、風速が強ければ強いほど出力が高まるわけではなく、ある程度の強さになったら、発電機の保護や騒音防止の意味から、風を逃がす必要があるので、出力にも限界があるようです。
ですから設置する場所をきちんと選ばないと、単なる飾りで終わってしまいます。高価な投資をしても元を取るのに何十年と掛かるばかりか、元すら取れないことも有り得ます。
http://www.tronc.co.jp/pdfweb/fuukyo8pc0.pdf に全国の風速マップがありますが、これを見れば、適地は山の上か海沿いの限られたところということになるでしょう。少なくとも平地では難しいように思えます。
まずは自分の場所でどのくらいの風が吹いてどの程度の電力を起こせるのか、シミュレーションしてみることが大切です。
今月に入ってから穏やかな日がつつき、街中では雪山も溶けて小さくなってきた。今日の最高気温は6.7度。これは4月上旬の気温らしい。
毎年この時期になると天気予報とにらめっこして融雪剤の散布時期を決める。
融雪剤の成分は炭の粉だ。これを雪の上に散布してあげることで日光を集め、雪解けしやすくする作業である。雪解けは融雪剤の他、雨や風でも早まる。
融雪剤はムラになるように散布した方が良いという。それは、融雪剤の濃い場所と薄い場所で融雪速度が変わるため、表面積が増え、結果として融雪が早まることになる。
融雪剤をまくことで雪解けは一週間早まる。月形は雪が多い場所柄、平年の融雪時期は4月中旬である。それが4月上旬になることは、農業にとって大きな意味を持つ。
花では苗などの定植時期を適期に行うをために有効であるし、ムギでは根雪の期間が140日を超すと凍損害がでる確率が増えてくるという。今季の根雪開始は11月16日だったので、まさに4月上旬がリミットである。
融雪剤の上に20センチ以上の降雪があると、まき直しが必要になってくる。しかし、幸いなことにこの一週間の週間予報を見てみると、天気が大きく崩れる予報は見当たらない。週末には雨の予報も見られることから、一層雪解けが進んでくれそうだ。
(追記)
サリーブラウンさんから、融雪剤はどうやってまくのか?との質問がありましたので、追記します。
水田など、なにも構築物がないところではスノーモービルを用いて大規模に散布している人がいます。また、粉の剤を撒く時に使う動力噴霧機を使う人やソリに融雪剤を入れ、スコップで撒く人もいます。
私はモービルを持っていないし、ハウス回りはモービルでは入れないので、肥料散布用に使っているまくぞー君を使っています。(下記)
融雪剤にも小石のような粒の大きいものもありますが、今回のものは粉なので散布時に風の影響を大きく受けます。
そのため、ビニルハウスに対して横風だとハウス内部まで届くのですが、ビニルハウスと並行に吹く風だと、ハウス内に入ってかがみながら撒かなければならないのが大変です。まして、向かい風の場合は、真っ黒くろすけになってしまいます。
今日はほぼ無風だったので、真っ黒くろすけは回避できましたが、ハウス内に入って撒くのが苦痛でした。
地球温暖化を初めとして原油の高騰、エネルギー危機管理などの影響を受けて、バイオマスエネルギーが脚光を浴び始めている。
バイオマスエネルギーとは植物(農産物)からバイオエタノールやバイオガス(メタン)を取り出して利用するエネルギーである。
石油と違い再生産可能なエネルギーであり、さらに植物は現代の二酸化炭素を炭酸同化しているので、実質、二酸化炭素の収支がゼロ(カーボーンニュートラル)という点で温暖化対策にも有効なエネルギーであると言える。
しかし、食糧との農地の奪い合い、ひいては農産物の価格上昇の懸念から、問題が多いことが指摘されている。
昨日、北海道大学大学院農学研究院の松田從三教授による、「北海道農業とバイオマスエネルギー」と題した講演を聞く機会を得た。農業振興の視点からバイオマスエネルギーを見直すことを主にした発想で、非常に可能性を秘めた技術であると考えられる。
日本においてバイオマスエネルギーが利用されない理由は、政策の問題が大きく関係している。
まず、バイオマスエネルギーを活用する場所がないことが一番の問題である。
例えば、バイオガスから発電しても買い取り額がコストに見合わない。さらに、RPS法(新エネルギー等電気利用法)による2010年度目標値が1.35%と非常に低い。そのためこの数値は既に過剰に達成されているため、電力会社が積極的にバイオマスエネルギーを買うことをしない。
さらに、バイオエタノールを製造しても、現状ではガソリンに対し3%の混合しかできず(E3)、しかも直接バイオエタノールを混合するのではなく、ETBEという物質に替えたものしか混合できない。混合率を上げたり100%バイオエタノール(E100)にするには、エンジンの調整や新たな自動車の開発が必要になってくる。
その反面、EU諸国、特にドイツでは新エネルギー利用の目標値が25%以上と非常に高く、発電した電気も高値で買い取りされる仕組みが出来上がっている。また、スウェーデンではバイオエタノールの直接混合が認められており、5%混合(E5)がレギュラーガソリンとして売られている。
バイオマスエネルギー利用の手法として、現段階で一歩進んでいるのはトウモロコシやサトウキビなどのデンプンや糖質原料を使ったバイオマスである。しかし、このバイオマスは食糧との競合が起きるという欠点がある。
次に考えられているのは草本系バイオマス、つまり、実を収穫して残ったワラなどの植物残渣を処理してエネルギーにしてしまう方法である。この手法が上手く回ることで、食糧利用とエネルギー利用の棲み分けが可能になってくる。農家にっても食糧とエネルギーの両面からの収入が得られ、また、今まで水田に放置されていたワラの回収も進むといった副次的な効果も期待できる。
さらに、技術が進むと木質バイオマスの利用が進んでくる。草本系バイオマスに比べるとエネルギー再生に時間がかかるので、純然たる再生可能エネルギーと言えるかは疑問があるが、それでも間伐材の利用や廃材などのエネルギー活用を進めることは意義あることである。なんと言っても木質バイオマスの保存量は草本系バイオマスの比較にならないほど大きいものである。
しかしながら、草本系バイオマスや木質バイオマスの利用は、現段階では技術的、コスト的な課題があり、即戦力としては期待できるものではない。
エネルギー資源作物栽培を目的として農地を利用することは、食糧争奪の面から好ましくないことは既に書いた。
日本の食糧自給率は40%。現在は環境やエネルギー問題がクローズアップされているものの、いずれ食糧問題が主要テーマになる日が必ずやってくる。その時にまず必要なのは、農地、そして耕作する農家だ。
その農家は年々減少の一途をたどり、耕作放棄地は増加している。これではいざというときに必要な食糧生産はままならない。
そこで、こういった耕作放棄地にエネルギー資源作物を作付けして、農業振興と農地保全を図ろうというのが、今回の発想である。普段は多収米などのエネルギー資源作物を作付けしておき、必要とあらば、食用作物にいつでも転換できる状態を確保しておく。こうすることで、農地の保全と、農家の所得確保が図れるという具合だ。まさに一石二鳥の対策である。
作る作物は水稲が適しているという。その理由はいくつかあるが、まず最重要作物であり、万が一の時には食糧にも変わりうる利点もある。さらに水田の多面的機能を利用できる面がある。また、稲わらは飼料や敷料にもなりうるし、
なんと言っても日本全国で栽培可能であるし、栽培技術があることも大きな理由だ。海外でもバイオマスエネルギーとして利用する農作物は、その国の最重要作物である。
こうして、当面は糖質・デンプン質バイオマスをエネルギーとして利用していき、技術的・コスト的な解決が図れた段階で草本系バイオマスや木質バイオマスに切り替えていく。ここには産廃業者の参加や家庭から出る生ゴミを参加させることもできるから、すべてのバイオマスを利用できる技術になりうるのである。
さらにそれ以外にバイオマスエネルギーを製造する理由は、製造技術の取得・確立につながるし、エネルギーをある程度製造することは外交戦略上の切り札にもなりうるという。
バイオマスエネルギーは、現在の日本の農業問題を解決する糸口にもなりうる重要なテーマである。
北海道は都道府県別の食糧自給率は200、以下、秋田141、山形122、・・・・・神奈川3、大阪2、東京1となっている。
バイオマスエネルギーは日本の農業を見直す良いきっかけになるかもしれない。
農地の整備、農業所得の向上、エネルギー資源の活用、環境(地球温暖化)対策、現代の農家が抱えるすべての問題を解決できうる可能性を秘めている。これが上手く進むか否かは農業政策とバイオマスエネルギーの利用をどう政策的に整備していくかにかかっている。
しかし、それ以前に、国民の理解が得られなければならないのはもちろんである。
ビニルハウスのパイプ沿いに直径20cm程の穴を息子が発見。
ざっとみたところ50cm以上深さはあるようだ。
お!発見!!
こいつか・・・・?
「エゾユキウサギ」
この時は雪が降ったばかりで、足跡がくっきり残ってしまう。
近くで見ようと追いかけていったら、必死に逃げていった。
ごめん、また、戻ってきてくれるかな?
<<前の10件 | 1|2|3 | 次の10件>> |