花全般の最近のブログ記事

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 今日は「月形の花」の仲間20名と札幌の花のパック工場2軒にお邪魔しました。
 どちらも大手スーパーやコンビニ向けに花のパック作りを行っています。お彼岸が近いことと週末と言うこともあって製作数も多いらしく、下葉取り、コンベヤーへの花置き、パッキング、箱詰めの一連の作業を従業員の方々が手際よく行っていました。
 同じものをただひたすら作り続けるのではなく、次々に新しいメニューに取りかかっていく様は、緊張感を感じずにはいられませんでした。もし、自分があの中に入ったらと思うと・・・アー怖いです。
 メニューは300円台の束から3000円、中には5000円のアレンジまで製作しているとのこと。売り手が熟練していないスーパーでも、アレンジを販売できるように配慮しているようでした。
 一ヶ月前から商品の提案をしていき、一週間単位で数量を把握しているそうです。すなわち、当然のことながら、量が見通せる品種に限定されていくのは仕方ないことのようです。

 今回、そういった花束製作の発見以外に、おもしろい輸送バケットを見つけることができました。

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 今の月形の花は100%ダンボール出荷で行っています。そして、水が下がるようなものはエコゼリーを付けたり、縦箱にしてソフトバケットを付けています。
 最近の原油高騰の影響からダンボール価格も上昇しています。そして何より、ダンボールは一回しか利用できません。結局はゴミとなりリサイクルされる運命です。

 花の輸送バケットといえばELFシステムが有名ですが、ここで使われているものは、水を入れるコンテナの上にプラスチック製のスペーサーを取り付け、上から格子状のフタができるようになっています。
 つまりプラスチック製のスペーサーが壁代わりになるため、フタの上に何段も積み重ねることができるということです。フタもシースルーになっているので、花の状態を確認でき、湿気もこもらない様でした。これをPPバンドで固定して出荷するそうです。価格は1個880円。
 ELFだと上に積み重ねられないので、非常に積載効率が悪いのが難点ですが、これならそういった問題も解消されます。

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 使用回数についても、聞いた限りでは一年以上は楽に使えるそうです。しかし、n-hanayaさんによれば、ELFでは使用回数が3回程度しかできないとのこと。リユース回数が極端に低い理由は何なのか?本当に数回の使用で壊れてしまうのか、それとも回収が上手く行かず行方不明になってしまうために平均利用率が落ちていることになるのか・・・
 既存のシステムを利用せず独自にやるのであれば、コストや回収方法だけでなく検討すべき課題がたくさんありそうです。なかでも市場、そしてその先の花屋さんにいかに理解してもらえるかが重要なようです。

産地交流会

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 今日は通称R275、国道275号線沿線花き生産組合役員交流会が新篠津花き生産組合主催で開催された。
 主催者挨拶の後、各生産組合の現況報告を行い、その後は個別の議論に移行した。
 各自の栽培品目の話しを含め、PR活動の話しなど、最後は消費者向けの販売促進についてまで、今後の方向性に関する話しができた。
 関係者をいかに巻き込んで活動していけるか。消費活動をどう促進していけるか、考えは一致できている。後はどう行動するかである。

 作れば売れる時代は終わったと誰もが言う。つまり、作りっぱなし、出荷しっぱなしではダメだとは誰もが分かっている。
 しかし、いざPRとなると、忙しいからという理由で消極的になってしまう。PRの大切さは頭では分かっていながら、行動に移せない。優先順位は常に低い。
 そして、矛先を品種選定に向けることになる。しかし、考えることは皆同じであるから、新品種であっても新鮮味は全くない。むしろ、昔の品種が新鮮になったりするのは皮肉である。 

記憶の森をあるくー生産直売

多くは人と人のマネジメントの問題を、品種の問題にすり替えているため、社会との対応ができなくなります。たとえばエコファーマーを取得することさえできない産地、、、、自産地ウェブサイトさえ構築できない産地、、、はひとつの社会対応ができない産地事例という指標になります。しかしエコファーマーを取得したり、単にウェブ上にブログ(ウェブ・ログ)を作り農作業日誌を公開することはきっかけであっても到達地点ではありません。次のステップは、それを手段として何を行うのかが問われています。

 ブログにしても一般のホームページにしてもサイトの構築自体は、非常に容易な時代になってきている。しかも安価で、中には無料で利用できるものも多い。 
 しかし、例えサイトを作ったとしても、作ることで満足してしまい、それ以上の発展がないサイトが非常に多い。更新が止まってしまったサイトである。
 サイトはいわば生ものであるから、新しいコンテンツを提供していかなければ、腐ってしまう。腐ったサイトの存在はサイトを作らない場合よりも始末が悪い。いわば悪評を自らまき散らしているようなものだ。

 大抵はサイトの構築で一杯一杯でコンテンツにまで頭が回らないことが多い。これはサイトを作る目的がはっきりしていないために起こることだ。他がやっているからうちでもやってみようか、ではすぐに腐り始めてしまう。
 サイトを作る目的は「伝えたいことを伝える」ことだ。これなしには何も生まれない。
 サイトはチラシやポスターではない。もちろんチラシやポスターにもなりうるが、それ以上の価値を容易に生み出せるツールである。
 それは紙面に限りがないこと、誰でも作成できること、そして、すぐに生み出せること、これがチラシやポスターにない魅力である。

 誰がコンテンツを作るのかがはっきりしていないことも腐ったサイトを生み出す一因である。伝えたいことを持っている人は誰なのか?伝えるべき人は誰なのか?それを生産者は自問自答する時だ。


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 昨日は月形花き生産組合青年部の役員にリニューアルした月形の花のサイトの説明を行った。
 トップページにブログを導入した経緯について説明し、エントリー(記事)の投稿のやり方と投稿の協力をお願いした。

 従来のホームページは、シーズン前に生産者から集めた出荷計画書を元に栽培情報を更新し、出荷が始まってからは週に一度出荷情報を更新するだけであった。
 本来は花の写真を充実させる意向もあったのだが、出荷最盛期になるとそれもままならない。

 それならば、実際に生産している生産者自身に写真を撮ってもらおうということになった。今はほとんどの生産者が携帯電話を持っている。それも今はカメラ付きが主流である。せっかくある機能を有効に使わない手はない。
 そして、写真をブログに送信してもらい、一つのエントリー(記事)が完成する。

 ブログはエントリー(記事)それぞれが独立したページであるため、リンクが増えることにより、検索に掛かる率が高まることも魅力の一つである。
 そして、専用のソフトを用いなくても気軽に更新作業ができなど、ブログを取り入れるメリットは大きい。
 パソコンと携帯どちらからでも投稿できるので、シーズン中はなかなかパソコンを起動させない人でも参加できる。

 これからは限られた人だけがサイト(ブログ)を作るのではなく、77名の生産者と農協の担当者全体で作り上げていくことになる。
 この集合知がどう展開していくか楽しみである反面、実際に参加してもらえるか不安でもある。
 いずれにしても、サイトの構築はスタートラインにすぎない。そこから何人がスタートしていくのか、それぞれの生産者が試されている。

 今月に入ってから穏やかな日がつつき、街中では雪山も溶けて小さくなってきた。今日の最高気温は6.7度。これは4月上旬の気温らしい。
 毎年この時期になると天気予報とにらめっこして融雪剤の散布時期を決める。
 融雪剤の成分は炭の粉だ。これを雪の上に散布してあげることで日光を集め、雪解けしやすくする作業である。雪解けは融雪剤の他、雨や風でも早まる。

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 融雪剤はムラになるように散布した方が良いという。それは、融雪剤の濃い場所と薄い場所で融雪速度が変わるため、表面積が増え、結果として融雪が早まることになる。

 融雪剤をまくことで雪解けは一週間早まる。月形は雪が多い場所柄、平年の融雪時期は4月中旬である。それが4月上旬になることは、農業にとって大きな意味を持つ。
 花では苗などの定植時期を適期に行うをために有効であるし、ムギでは根雪の期間が140日を超すと凍損害がでる確率が増えてくるという。今季の根雪開始は11月16日だったので、まさに4月上旬がリミットである。

 融雪剤の上に20センチ以上の降雪があると、まき直しが必要になってくる。しかし、幸いなことにこの一週間の週間予報を見てみると、天気が大きく崩れる予報は見当たらない。週末には雨の予報も見られることから、一層雪解けが進んでくれそうだ。


(追記)
 サリーブラウンさんから、融雪剤はどうやってまくのか?との質問がありましたので、追記します。

 水田など、なにも構築物がないところではスノーモービルを用いて大規模に散布している人がいます。また、粉の剤を撒く時に使う動力噴霧機を使う人やソリに融雪剤を入れ、スコップで撒く人もいます。
 私はモービルを持っていないし、ハウス回りはモービルでは入れないので、肥料散布用に使っているまくぞー君を使っています。(下記)

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 融雪剤にも小石のような粒の大きいものもありますが、今回のものは粉なので散布時に風の影響を大きく受けます。
 そのため、ビニルハウスに対して横風だとハウス内部まで届くのですが、ビニルハウスと並行に吹く風だと、ハウス内に入ってかがみながら撒かなければならないのが大変です。まして、向かい風の場合は、真っ黒くろすけになってしまいます。
 今日はほぼ無風だったので、真っ黒くろすけは回避できましたが、ハウス内に入って撒くのが苦痛でした。

 地球温暖化を初めとして原油の高騰、エネルギー危機管理などの影響を受けて、バイオマスエネルギーが脚光を浴び始めている。
 バイオマスエネルギーとは植物(農産物)からバイオエタノールやバイオガス(メタン)を取り出して利用するエネルギーである。
 石油と違い再生産可能なエネルギーであり、さらに植物は現代の二酸化炭素を炭酸同化しているので、実質、二酸化炭素の収支がゼロ(カーボーンニュートラル)という点で温暖化対策にも有効なエネルギーであると言える。

 しかし、食糧との農地の奪い合い、ひいては農産物の価格上昇の懸念から、問題が多いことが指摘されている。

20080303.jpg 昨日、北海道大学大学院農学研究院の松田從三教授による、「北海道農業とバイオマスエネルギー」と題した講演を聞く機会を得た。農業振興の視点からバイオマスエネルギーを見直すことを主にした発想で、非常に可能性を秘めた技術であると考えられる。

 日本においてバイオマスエネルギーが利用されない理由は、政策の問題が大きく関係している。
 まず、バイオマスエネルギーを活用する場所がないことが一番の問題である。  
 例えば、バイオガスから発電しても買い取り額がコストに見合わない。さらに、RPS法(新エネルギー等電気利用法)による2010年度目標値が1.35%と非常に低い。そのためこの数値は既に過剰に達成されているため、電力会社が積極的にバイオマスエネルギーを買うことをしない。
 さらに、バイオエタノールを製造しても、現状ではガソリンに対し3%の混合しかできず(E3)、しかも直接バイオエタノールを混合するのではなく、ETBEという物質に替えたものしか混合できない。混合率を上げたり100%バイオエタノール(E100)にするには、エンジンの調整や新たな自動車の開発が必要になってくる。
 その反面、EU諸国、特にドイツでは新エネルギー利用の目標値が25%以上と非常に高く、発電した電気も高値で買い取りされる仕組みが出来上がっている。また、スウェーデンではバイオエタノールの直接混合が認められており、5%混合(E5)がレギュラーガソリンとして売られている。

 バイオマスエネルギー利用の手法として、現段階で一歩進んでいるのはトウモロコシやサトウキビなどのデンプンや糖質原料を使ったバイオマスである。しかし、このバイオマスは食糧との競合が起きるという欠点がある。
 次に考えられているのは草本系バイオマス、つまり、実を収穫して残ったワラなどの植物残渣を処理してエネルギーにしてしまう方法である。この手法が上手く回ることで、食糧利用とエネルギー利用の棲み分けが可能になってくる。農家にっても食糧とエネルギーの両面からの収入が得られ、また、今まで水田に放置されていたワラの回収も進むといった副次的な効果も期待できる。
 さらに、技術が進むと木質バイオマスの利用が進んでくる。草本系バイオマスに比べるとエネルギー再生に時間がかかるので、純然たる再生可能エネルギーと言えるかは疑問があるが、それでも間伐材の利用や廃材などのエネルギー活用を進めることは意義あることである。なんと言っても木質バイオマスの保存量は草本系バイオマスの比較にならないほど大きいものである。
 しかしながら、草本系バイオマスや木質バイオマスの利用は、現段階では技術的、コスト的な課題があり、即戦力としては期待できるものではない。

 エネルギー資源作物栽培を目的として農地を利用することは、食糧争奪の面から好ましくないことは既に書いた。
 日本の食糧自給率は40%。現在は環境やエネルギー問題がクローズアップされているものの、いずれ食糧問題が主要テーマになる日が必ずやってくる。その時にまず必要なのは、農地、そして耕作する農家だ。
 その農家は年々減少の一途をたどり、耕作放棄地は増加している。これではいざというときに必要な食糧生産はままならない。
 そこで、こういった耕作放棄地にエネルギー資源作物を作付けして、農業振興と農地保全を図ろうというのが、今回の発想である。普段は多収米などのエネルギー資源作物を作付けしておき、必要とあらば、食用作物にいつでも転換できる状態を確保しておく。こうすることで、農地の保全と、農家の所得確保が図れるという具合だ。まさに一石二鳥の対策である。

 作る作物は水稲が適しているという。その理由はいくつかあるが、まず最重要作物であり、万が一の時には食糧にも変わりうる利点もある。さらに水田の多面的機能を利用できる面がある。また、稲わらは飼料や敷料にもなりうるし、
なんと言っても日本全国で栽培可能であるし、栽培技術があることも大きな理由だ。海外でもバイオマスエネルギーとして利用する農作物は、その国の最重要作物である。
 こうして、当面は糖質・デンプン質バイオマスをエネルギーとして利用していき、技術的・コスト的な解決が図れた段階で草本系バイオマスや木質バイオマスに切り替えていく。ここには産廃業者の参加や家庭から出る生ゴミを参加させることもできるから、すべてのバイオマスを利用できる技術になりうるのである。
 さらにそれ以外にバイオマスエネルギーを製造する理由は、製造技術の取得・確立につながるし、エネルギーをある程度製造することは外交戦略上の切り札にもなりうるという。

 バイオマスエネルギーは、現在の日本の農業問題を解決する糸口にもなりうる重要なテーマである。
 北海道は都道府県別の食糧自給率は200、以下、秋田141、山形122、・・・・・神奈川3、大阪2、東京1となっている。
 バイオマスエネルギーは日本の農業を見直す良いきっかけになるかもしれない。
 農地の整備、農業所得の向上、エネルギー資源の活用、環境(地球温暖化)対策、現代の農家が抱えるすべての問題を解決できうる可能性を秘めている。これが上手く進むか否かは農業政策とバイオマスエネルギーの利用をどう政策的に整備していくかにかかっている。
 しかし、それ以前に、国民の理解が得られなければならないのはもちろんである。

 ゆみこの日記 講演会「北海道農業とバイオマスエネルギー」
 北海道バイオガス研究会

ホイラーの法則―ステーキを売るなシズルを売れ!
 シズルとはステーキを焼くときのジュージューという音のことだ。肉屋はただ肉を売るのではなく、そのジュージューという焼き音や肉汁を想像させることで、売上が伸びるという。

 つまり「シズル」とはその商品の最大のセールスポイント、いいかえるなら、お客がそれを買いたくなる主要な理由のことである。
 シャンパンにとっての泡、チーズにとっての風味、コーヒーの香り、保険にとっては安心感。すべての商品には「シズル」が隠されている。だから、「シズル」を見つけだして、商品に添えてあげることができれば、見込み客を本当の客にすることができる。

 例として、電気掃除機のセールスマンの心がけが挙げられている。


・ 正札を売らないで、骨が折れないことを売れ!
・ 構造を売らないで、手数がかからない点を売れ!
・ モーターを売らないで、快適な点を売れ!
・ ボールベアリングを売らないで、吸いやすい点を売れ!
・ 吸引力を売らないで、家がきれいになる点を売れ!

 つまり、健康的、快適、手数がかからない、骨が折れない、家がきれいになる、これらが電気掃除機の「シズル」ということになる。


 花にとってのシズルは何だろうか・・・・?

 安藤教授の言葉を借りれば、「心の道具」ということか。
 愛情、恋慕、同情、悲しみ、喜び、感謝など、そんな心を相手に伝えるメッセンジャーとして。また、自分への贈り物として、正の心をより膨らませ、負の心をやさしく包み込む。
 花言葉などはその表れとも言えよう。
 まだまだ「シズル」はありそうだ。

暴風雪被害

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 一昨日から昨日にかけての暴風雪は広範囲に影響をもたらしているようだが、月形でも地域的にビニルハウスの破損などの被害が出ているようだ。
 道路自体が雪の壁と一体になり真っ平らになってしまい、除雪もままならず今日になっても復旧していない町道があるとのこと。

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こんな感じに除雪されていたのだが、

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風上側の通路は雪が吹き溜まり、ほとんど埋まってしまった。


 昨日から予定していた、役員による道外市場廻りもその影響で3月に延期になった。

 月形の花(月形花き生産組合)サイトはサーバー側からアクセス停止の解除が行われ、無事アクセス可能になりました。
 ご迷惑をおかけしました。

 最近の農業事情は、中国のオリンピックバブルによる鉄骨の高騰、原油の高騰の影響をもろに受け一層のコスト高の状態だ。
 肥料も農薬もビニルハウスのビニル、トラクターの燃料、暖房、細かな資材などほぼすべてが石油由来の商品ばかりだ。

 農業のような一次産業はコスト分を値段に転嫁できない。基本的には価格は市場任せだからだ。例え価格に転嫁できたとしても、私が作っている花は高値なれば真っ先に切り捨てられる商材でもあり、高値を素直に喜べない現実もあったりする。
 結局は、コストをいかに抑えるかロスをいかに減らすかが、収入を増やす決め手になってきている。

 さらに、エコファーマーなど環境保全型農業施策の影響もあって、農薬の使用は減らさなければならない風潮にある。
 もちろん必要ないものは使う必要はないし、農薬一つ取っても農薬代だけでなく散布の手間などのコストが掛かるのだから、人に言われるまでもなくその方向に向かうのは当然である。
 そうして農家全体がレベルアップしていけば、全体の収入もアップすることになる。

 しかし、現実はそう上手くはいかない。
 こういった風潮を狙った商売が栄えることになる。

 「これを散布すれば、虫が寄りにくくなります」
 「これには殺卵効果があります」
 「農薬でないから安心です」
 「100%天然成分です」
 「漢方ですから大丈夫」

 こういううたい文句でいろいろな植物保護材が出回ってくる。登録は肥料登録でありながら、営業は農薬としての効能を謳う、農薬取締法違反まがいのところもある。そして、何よりもこういった資材は高価だ。それほど効果的でないのにも関わらず・・・

 農薬でないから大丈夫というのは、農薬としてカウントされないと言う意味と農薬でないから安全だという二通りの意味がある。

 では、農薬の意味を考えてみよう。農薬取締法の定義では、

「農薬」とは、農作物(樹木及び農林産物を含む。以下「農作物等」という。)を害する薗、線虫、だに、昆虫、ねずみその他の動植物又はウイルス(以下「病害虫」と総称する。)の防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤その他の薬剤(その薬剤を原料又は材料として使用した資材で当該防除に用いられるもののうち政令で定めるものを含む。)及び農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる成長促進剤、発芽抑制剤その他の薬剤をいう。

 つまり、農薬とは農産物を保護する目的で使用されるものを指すのであって、化学物質であるとか天然物であるとかは関係ない。まして、農薬登録がないから農薬としてカウントしないというのは本来あるべき姿からはかけ離れていることと言える。

 農薬として登録されるには、効果が高く作物に影響がないことはもちろん、人畜、水産物、環境に対する悪影響を与えないよう、毒性試験や残留試験が行われる。そして、農産物ごとに残留基準が定められた上で登録され使用が可能になる。

 であるから、農薬でない植物保護材を使うということは、効果が足りないかあるいは人畜、環境に対する基準が全くないものともいえ、環境調和型農業に逆行しているとも言える。天然物だから安全かどうかは、身の回りの天然物を見回してみれば一目瞭然である。

 無農薬だから、有機農産物だから安心・安全であるとよく言われる。本当の安全は総合的に判断しなければ絶対に分からない。農薬は基準通り正しく使えば危険なものではない。むしろ、基準のない資材を使うものの安全を疑った方が賢明であるし、なにより安心できない。

 われわれ農業者の使命は、環境にできるだけ負荷を与えずに安全な農産物を消費者に届けること、そして農地を未来のために保全することにある。
 時代の流れに形だけ乗っていれば、補助金は当たるのかも知れないが、それではもはや農業者ではない。
 安全の定義は難しいが、少なくとも、農薬を使わずに、怪しい資材を使うことではその使命は果たせない。

 近い将来に訪れると予測される食糧危機。農業者は減少の一途を辿る中、食糧と農地を確保して行くには、農業者ばかりでなく消費者も正しい知識を持った行動が必要である

ペレットストーブ導入

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 町内の花農家にペレットストーブが導入された。
 ストーブ本体は全額補助で賄われ、3年間の試験稼働を行うという。メーカーは異なるが、昨年の秋に見た機械からかなりスマートになっている。
価格は270万円ほど。同カロリーの灯油暖房機の9倍である。
 
 恐竜の時代に閉じこめた二酸化炭素を大気中に放出する化石燃料と異なり、木質燃料を使うペレットストーブは、現代の二酸化炭素を吸収して育った植物を原料にしているため、二酸化炭素を増加させない(カーボンニュートラル)。地球温暖化が問題視されている中にあって古くて新しい暖房装置である。
 ペレット燃料はキロ40円ほどで入るというから、カロリーベースで比較すれば、灯油80円/リットルで同等の価格になる。現在は92円/リットルほどであるから、コスト面でもメリットがある。

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 ペレットストーブと一口で書いたが、実際は灯油ストーブとのハイブリットである。
 その理由は、まず、点火するために少量の灯油を使う。そして、初期燃焼で暖房が得られるのに15分ほど必要なため、設定温度を保つには瞬発力の高い灯油の力を借りる必要がある。三つ目の理由は万が一のバックアップである。

 ペレット燃料と灯油をどの程度の割合で消費するかは、ペレット、灯油それぞれの設定で変更可能であるから、3年間の試験期間の中で多くのデータを収集できるものと思われる。

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 内部の燃料タンクは150kgの容量であるが、1時間に8kg程のペレットを消費するので、これだけで約20時間弱の燃焼が可能である。
 さらに外部に容量1.5tのタンクを設置してそこから内部タンクに電動供給することで、いちいち燃料を運搬する必要はない。

 いずれにしても、導入実績がまだそれほどない中での稼働であり、今後試行錯誤が必要になってくる場面が考えられる。
 木質燃料はカーボンニュートラルで二酸化炭素を出さないと書いたが、実際は材料の加工や運搬には化石燃料を必要としている。いかに加工・運搬時の化石燃料を減らすことができるか、そして、ソフト面だけでなく、本体の価格をどこまで下げられるかが、今後の普及の決め手になってくる。

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